法人紹介

第2章 友達との育ちあい

2-8 マイナスも素晴らしい

今年は例年になく何度も雪が降り、ほころび始めた梅の花に風情を添え、子どもたちも朝から手袋をびしょぬれにして喜んでいます。

バンクーバーで開催された冬のオリンピックも連日熱い戦いをテレビで見ることができ、楽しみの一つでした。表彰台に立ち、国旗が高々と掲げられ、にこやかに誇らしげにインタビューを受けている姿を見ていると、「この選手たちは、目標に向かい、私たちの計り知れない、いかに苦しい努力を重ねてきたことか」と思います。でも、「入賞を逃した選手、20位、30位の選手たちも同じように努力をしてきたのだろうな」と思うと、子どもたちの姿が重なって浮かびます。

保育園の発表会に向けて、少し動けたり、歩けたり、リズムを表現できる子どもたちは、みんな毎日練習しています。乳児は担任に抱かれ、ベビーチェアに座っているだけでかわいく最高の発表会となり、大きな声でせりふを言える子、恥ずかしいけど小声で頑張っている子、ダンスも、友達よりリズムがずれて踊っている子などさまざまです。でも、一生懸命練習する子どもたちのがんばる心は同じなのです。

リズムに乗り切れない友達に丁寧に要領をおしえてあげる子がいます。1・2・3・4拍目で半回転しきれなかった子が友達に教わり、上手にできるようになりました。練習を終えた時「楽しかった!」「特に回るところがね」と保育士に報告し、心から喜んでいる様子がありありと伝わり、拍手で応援した私たちもうるうると涙腺が緩んでしまいました。「どうせ~だから」とあきらめず、”最後の最後まで力を尽くす “幼い子どもの姿に、私たち大人は教えられることがたくさんあります。

私自身も高齢者グループの一人ですが、「今さら・・」とか「いい年して」と思ったことはありません(足腰・脳の衰えは実感せざるを得ませんが)。生きている間は最善を尽くし、一日の終わりには

「子どもたちへのまなざしはこれでよかったのだろうか」振り返り、「また、明日も澄んだ目の子どもたちに会える」ことを楽しみに床に就きます。

私の幸福は、”子どもたちといつも一緒” です。人は皆それぞれに幸せを追いながら精いっぱい努力しているのです。お手本は、助け合い、教え合い、慰め合い、喜び合う、子どもたちの姿です。

子「園長先生は、大きくなったら何になりたい?」

私「そうねえ、かっこいいお兄ちゃんになりたいな」

子「なれるよ、なれるよ、園長先生ならきっとなれるよ」

なんて優しい子どもたちなのでしょう。