法人紹介

第2章 友達との育ちあい

2-1 ハンデを持つ子と支え合う

すみれ保育園には、毎年1~4名のハンディキャップを持つ子(障害児)がいます。家族の方たちは「同世代の子どもとのふれあい」や「保育園の生活を通していろんな体験をさせたい」、「身辺自立を目指したい」という希望と、多くの迷いを持ちながら入園を決意しているようです。

私たちは、入園の前に『あるがままの姿を受け入れ、発達に合わせた支援を惜しまない』ことなどをお話しします。そして何よりも大切なことは、友達との相互性の中で保育が展開されるということです。発達障害(自閉症・アスペルガー症候群・広汎性発達障害・学習障害・注意欠陥多動性障害)、ダウン症、脳性マヒなど、障害は一人一人が個別のスタイルを持っています。これは、障害を持たない子どもにとっても重く考えねばならないことです。

子どもたちは、障害を持つお友達に、ある時は寛大に、またある時にはドキリとするほど真正面から言ってのけたりします。でも彼らは、保育士が気づかなかったことを教えてくれるのです。好きな遊びも見つからず、不安げにあちらこちらに歩き回る女の子に自分の使っていたフラフープを持たせてあげたり、鉄棒に誘ったり、時にはひざの上に抱っこしてあげたり。年齢を超えてかかわろうとしている子どもたちに教えられることが幾度となくあるのです。

3年前、ダウン症のK君と共に過ごした23名の卒園式の日のことでした。シーンと静まる式場で卒園児を前に贈る言葉を話していると、私は一人の男の子と目が合いました。その瞬間、日ごろ元気いっぱいでわんぱくな彼が、運動会で隣り合ったK君をいたわり、隊列の変わるときには心配そうに気遣い、無事にできた時にほほ笑んだことが脳裏をかすめ、不覚にも私の涙腺は緩んでしまいました。(これじゃいけない・・・)と気を引き締めようと思った時です。前列にかしこまって座っていた男の子が、「先生、うれしいの?」と大きな声で私に聞くのです。お父さん、お母さん、卒園児たちの緊張が解けた瞬間でした。以前、「先生は痛くても泣かないの?寂しくても泣かないの?」と聞かれ、「そうよ、うれしいときのために涙はおなかにしまっておくのよ」と話したことを覚えていてくれたのです。
「誰もが優しい子に育ってくれてとてもうれしい、ありがとうね」と、私のあいさつを締めくくることができました。

ハンデを持つ子も、受け入れている子も、みんながそれぞれ支え合い。『みんな違ってみんないい』という金子みすずさんの詩の中の一節は、私の大好きな言葉です。