法人紹介

第1章 育児で大切なこと

1-6 子どもの「思い」

良い学校に入り、良い会社に収まる…それを″勝ち組″などともてはやす世の中になってしまいました。「良い」「悪い」「勝ち」「負け」の基準は、どこにあるのでしょうか。

確かに、大人は子どもに願いや希望をかなえてほしいと期待し育てています。けれども、できることがたくさん増え、大人に近づいてゆくことが発達であると捉えて、何かを仕掛けることに力を注いではいないでしょうか。一人一人違う″思い″を持って生きている子どもを忘れ、″できる・できない″の視点で見てきてしまったとしたら、保育者は見つめ直さなければなりません。

現在私共の園では、112名のお子さんをお預かりしていますが、一人一人がみんな″思い″を持って生きているのです。私たちは子どもをよく見て感じ取り、そこから自分なりに考えてゆきます。『他人皆、先生』といわれるのはこういうことなのですね。

保育士たちが、毎日子どもから教わり、学び、自分の成長にも喜びを持って笑顔で過ごせるのは、子どものおかげと感謝しています。園の庭やすべての部屋から、明るく弾んだ声や笑声が聞こえてきます。皆さんのご家庭はいかがですか。人間関係の原点ともいわれる家庭でも愛に満ちあふれた日々を過ごされているでしょうか。

愛情が多すぎるということはないのです。″愛する″は、″甘やかす″とは違います。泉のようにわき出る愛を注がれた子どもたちは、どんな困難をも乗り越え、周囲の人や自然を思いやる心が備わるはずです。そして、何を糧に生きていくのか、自ら探し出せる人間に成長していくのです。