法人紹介

第1章 育児で大切なこと

1-5 できる・できない

澄みきった青空、冴え渡る空気の下、あちらこちらで運動会が催されています。ご両親をはじめ、遠方からもおじいちゃん、おばあちゃんが応援に駆け付け、声援を送ります。そして、走るのが早い遅い、お遊戯が上手に踊れた、失敗したなどと一喜一憂しています。

けれど、保育園では、できるできないといった力の視点で子どもの発達を見るのではなく、目に見えない″心″の部分を発達の中でより大切にして子どもたちを育てています。子どもは一人で育つのではなく、育てられて育つのです。

しかし、″育てる″ ″育てられる″という営みは、育てる大人側の事情が良くも悪くも反映してしまいます。子どもは自分の思いを持った一個の主体です。でも私たち大人は、「最近の子どもは変わった」と子どもに生じた負の面をすべて子どものせいにしてしまいがちです。子どもが突然変わったわけではなく、家庭や保育園での″育てる″営みに変化が起きたことが、最近、特に世間を驚かす事柄の増加を生み出しているような気がします。

よその子より早い発達がわが子の将来の幸せにつながる・・・という、いつの間にか大人が抱き始めてしまった″常識″。子どものためにと言いながら、かいがいしく先回りして世話を焼き、力を付けるための″させる″働きかけに熱心であればあるほど、よい保護者・よい保育者と思っている″信念″。これらが子どもの育ちに負の影響を及ぼしているなどとは思いが至らないのです。子どもの「将来のため」とさせてきたことが最近の子どもの育ちにくさを生み出してしまったということを考えてほしいのです。

私たちは子どもの″できる″″できない″の結果でなく、″心″と″気持ち″を大切に、一人一人と向き合いながら保育を進めてまいります。