法人紹介

第2章 友達との育ちあい

2-4 友達あってのすてきな育ち

ある朝、いつもの時間に出勤し、事務室に入ると、4歳の女の子が二人で待ちかねた様子で「園長先生と一緒にお弁当を食べていいですか?」とにこにこと尋ねるのです。

「ん?お弁当?・・・あっ!今日はお弁当の日!」すっかり忘れていました。でも「あらうれしい。一緒に仲良く食べようね」と応じると二人はにっこり顔を見合わせ、「後で来ま~す♪♪」と満足そうに手をつなぎ、

お部屋に戻って行きました。

さあ大変、お弁当らしく何とか準備し、かわいいお客さまのためにほんの少しフライドポテトを2枚のお皿に載せて待っていると、お昼時になり、約束通りお母さん手作りのお弁当を持って事務室にやってきました。

「あたしのはね、昔お姉ちゃん(現在小学4年生)が使っていたお弁当箱なんだよ。おはしはマイメロディーちゃん」「あたしのはね、おかかさんが買ってくれたピンクのお弁当箱よ」おしゃべりは途切れることがありません。

おかず、デザート、飲み物の一つ一つを「お母さんがね」「お母さんがね」と説明しながら二人の女の子は私たち(その日は偶然理事長も一緒でした)に説明してくれます。「きれいなお弁当ね。おいしそうだこと」と

褒めると、すかさず「先生のだっておいしそうじゃん」と二人は一緒に褒めてくれます。

「お部屋の中のたくさんのお友達の中ではこんなにおしゃべりではないんです」と担任が驚くほど、二人の女の子はころころと笑いながらおしゃべりをしています。

仲間との新しい世界の中で新鮮な好奇心や知識欲などを十分に満足させ、さらに新たな感動を見つけようとしているのです。

一人では「園長先生と一緒に食べていいですか?」とは尋ねて来なかったでしょう。仲良しの友達と一緒だと多少の恥ずかしさやためらいも乗り越え、やってみたいことに挑戦し、ひるまず向かっていけるのです。

おはしのケーキを落としてしまっても友達が「大丈夫?割れなかったね」と心配してくれます。子どもの自主性、自発性、創造性、探究心など意欲的な活動の″源”はこのようにして仲間の間で育っていくのでしょう。

いつも事務室でだった一人で済ませる昼食の何倍も何万倍も豊かな気持ちになれたお弁当の日でした。